【新唐人2013年10月13日付ニュース】野村ホールディングス(Nomura Holdings Inc.)は最近、中国地方政府の債務規模がここ数年で39%拡大したという驚くべき状況にあると伝えました。野村ホールディングスのエコノミストは、中国当局は市場紀律を強化する為、来年一部地方政府に債務不履行が発生することを容認するのではないかと予測しています。つまり、中国共産党当局が地方政府破産の幕を開ける可能性があるとのことです。
野村ホールディングスのチーフエコノミスト張智威(ちょう ちい)氏は9月26日の報告の中で、2012年末までに地方政府の負債は2010年に比べ39%、19兆元増加したと述べました。これは中国GDPの37%に相当します。
張氏は、流動性リスクが上昇していると指摘し、869の地方政府の融資プラットフォームに対する研究の結果、地方政府の支持が無かったら、昨年は半数以上の地方債務に不履行のリスクが存在したことが分かったと示しました。
報告書ではさらに、市場紀律強化のため、中国当局は来年個別の債務不履行を容認し、これによりその他の地方と投資者に警告する可能性があると指摘しています。
米サウスカロライナ大学 謝田教授
「債務不履行とは、つまり破産したことを意味し、その債務は帳消しになり、政府も破産したということです。投資した人が不運なのです」
謝田教授は、野村ホールディングスが指摘した中国当局の容認する地方政府の債務不履行には二つの可能性があると指摘します。ひとつは証券新聞による情報の推測で、もうひとつは、共産党上層部が噂を流し、国内外の動きを探る可能性があると考えています。
北京天則経済研究所・馮興元(ひょうこうげん)副所長は、地方債務激増の状況下において、債務不履行は必ず発生すると指摘します。
北京天則経済研究所 馮興元副所長
「私の計算では、地方政府の債務はGDPの40〜50%を占めています。全国の債務はすでに86〜90%以上に達しています。中国の多くの県が抱える負債額は既に地方財政の5〜10倍に達し、返せない額なので、実質破産しているのです」
また、ある資料では、ここ2年の地方政府の債務は深刻で、ほぼ倍増していると報告されているそうです。
ここ数年、激増している銀行の貸し付けや地方政府負債額が、中国経済回復の主要な駆動力となっています。特に、2008年の4兆元の経済刺激策によって多くのプロジェクトが開始されました。現在、地方政府はインフラプロジェクトの資金獲得の為に1万以上の融資プラットフォームを設立していますが、多くの企業は今、返済の為に新たな借り入れを起こさねばならない窮地に陥っています。
北京師範大学MBA教官 段紹訳さん
「中国政府は任期制で、各任期の指導部は政治的成果を上げようとします。しかし債務は次期指導者に残すことが出来ます。だからどの政府も資金を使う事だけ考え、支払いがしたくないのです。これが悪循環となり、政府の債務はますます増えるのです」
著名な経済学者・茅于軾(ぼう うしょく)さんの弟子である段紹訳(だんしょうやく)さんは、中国の社会制度が変わらなければ、政府に対する監督、制約メカニズムは何もないので、この様な現象を抑制することは出来ないと指摘します。
ブルームバーグ・ニュースが今年7月に行った調査では、調査に応じた経済学者の半数が中国地方政府と企業の不良債権は、中国の貸し付けと経済成長に“大きな打撃”を与えるだろうと考えていることが明らかになりました。
中国当局はこのため、一連の行動を起こしていますが、国務院が7月末に出した地方政府に対する債務監査がその1つです。
7月11日、李克強首相も、“皆が注目している中国の地方政府債務問題に対し、方向性のある措置を採り、秩序ある解決方法を採っている”と公に述べました。
米サウスカロライナ大学 謝田教授
「中小都市大きな影響を与えることのない、都市を破産させ、救済しないでしょう。それから、一部官僚を処罰し、見せしめにするのです」
謝田教授は、中国には“上に政策があれば、下には対策がある”という言葉があり、当局の今回の措置に対しても例外ではないと話します。一方、後ろ盾を持たない一部の地方官僚や民間企業投資者、個人企業などは被害者になるだろうと考えます。
段紹訳(ダンしょうやく)さんは、中国当局は容易に紙幣増刷によるインフレ、不動産価格の引き上げ等の方法で、債務危機を一般民衆に転嫁することができると指摘します。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2013/10/05/atext978634.html(中国語)
(翻訳/赤平 編集/坂本 ナレーター/佐藤 映像編集/工)